こども食堂への補助がなくなる?

現在、江戸川区のホームページで「時代に合わせた行政サービスの整理・再構築」について発表がされています。その中に「子ども食堂への補助」という項目が明記され「他のボランティア団体への補助との不均衡や他の子ども支援事業の推進、側面支援の強化といった理由から、子ども食堂への補助を段階的に廃止します。」という方針が示されています。

https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e004/kuseijoho/kohokocho/kohoedogawa/2024/202412/12sp/jidai.html

江戸川区内の子ども食堂の多くが「えどがわっ子食堂ネットワーク」に登録し、令和5年度は約30団体が補助金を受け取っています。補助金額は月額最大4万円、年間48万円です。

先日、この補助金の段階的な廃止について説明会があったということで、区内で食堂を運営されている方からご相談をいただいております。

担当課に確認をしたところ、正式に補助が打ち切られることが決定しているという訳ではないということでしたが、検討段階にあることは確かだということです。

子ども食堂の補助に関しては、令和6年度に「配食」への補助が打ち切られ、補助対象が「会食形式(イートイン)」のみになりました。また、初年度に支援される「設備費」については、今年度限りで東京都の10/10補助が終了し1/2補助に切り替わることを理由として、打ち切りが決定しています。

子ども食堂には他の支援と明確に異なる点が何点かあると考えており、他の支援を充実させたとしても支援が届かない子どもが生まれてしまうのではないかと懸念しています。以下に子ども食堂の利点を挙げていきます。

  • 保護者による申請が無くても、子どもだけで無料、あるいは格安で利用ができる。
    • 保護者が支援を拒否したり、支援が必要なことが分かっていても申請をしない(できない)場合が往々にしてあります。そういった場合でも、子ども食堂は行政に対する申請なしで気軽に利用できる場所がほとんどで、子どもだけで食堂に行って食事をすることが可能です。
  • 区内に多くの拠点があり、多くの子どもたちが利用することができる。
    • 現在、えどがわっ子食堂ネットワークに登録をしている食堂は約60か所あります。(一部、運営を休止しているところもあります。)これだけの拠点があると、1か所で20人の子どもたちに支援を行ったと仮定しても、1000人以上の子どもたちに支援を行うことができています。利用者数については現在担当課に確認をしていますが、毎回数十人の子どもたちが食事に来るという団体さんも複数ありますし、毎日支援を行っている団体さんもあるので、相当な人数のお子さんが支援を受けていると考えられます。
  • 多拠点化することにより、自宅近くで支援を受けることができる。
    • 子どもだけで移動できる距離には限界があります。自宅近くに拠点がなければ、支援を届けることが難しいのです。こども食堂は空白地域を無くすことが重要で、自治体によっては、「すべての学区に子ども食堂を」という方針をあげているところもあります。

また、事業経費については現在詳細を確認中ですが、令和5年度の決算資料を見たところ824万円余でした。半分は東京都の補助金ですので、区の独自財源から支出される金額は約412万円です。財源規模から鑑みてもそれほど大きな金額ではないですし、無駄になっている、見直しが必要な事業とは思えません。

歳入が減っていくから早め早めに対応を打つ、という区の方針も一定理解はできますが、子ども食堂の補助については継続が必要ではないかと考えています。

現在、区ではパブリックコメントを募集しています。→コメントはこちらから

子ども食堂の件だけではなく、皆様のご興味のある内容がありましたら、広くご意見を寄せていただければと思います。また、見直し内容について不明点などがございましたら、お気軽にご連絡ください。

北区のJ&L(ジェイトエル)を視察しました

北区のJ&Lを視察しました

子ども支援・教育力向上特別委員会が開催で北区の新しい複合施設「J&L」(ジェイトエル)を視察してきました。この施設は「図書の力を使って人を集める」というコンセプトのもと、区民センターの移転計画から発展し、図書館機能を中心にさまざまな要素が融合した場となっています。

J&Lでできること

  1. 本を読む J&Lでは、館内で本を読むことができます。貸し出しは行っていませんが、新刊や図書館法に基づく図書館では配置できないような高価な本が蔵書されており、様々な本との出会いを楽しむことができます。また、北区立図書館と連携しており、予約した本の受け取りや返却が可能です。
  2. イベント参加 幼児向けの「あかちゃんおはなし会」や、工作機器を使ったイベントなど、多彩なプログラムが用意されています。地域の交流を深める場としても機能しています。
  3. 施設の活用 音楽演奏が可能なホールや、動画編集が行えるスペースなど、クリエイティブな活動をサポートする設備が充実しています。
  4. ものづくり UVプリンター、3Dモデリングマシン、3Dプリンター、職業ミシンといった先端機器が揃い、創作活動を気軽に始めることができます。特に「クリエイティブルーム」は、多様な機械を安価で利用できることが魅力です。

特徴と背景

J&Lは図書館法上の図書館ではありませんが、図書館的な機能を備えた新しい形態の施設です。施設の開設にあたっては、近隣の大学との連携も図られています。

この施設は当初、区民センターの移転計画として始まりました。しかし「単なる移転では賑わいが不足するのではないか」という意見を受け、図書を核にした複合施設として再設計されました。その結果、平日は600–800人、休日には1000人を超える来館者が訪れる人気の施設となっています。

今後の展望

J&Lは今後さらに活性化が期待されています。これから商業施設が併設されたり、隣接する高層マンションに入居者が増えたりすることで、新たな人の流れが生まれるでしょう。また、指定管理者が企画する多彩なイベントが、さらに多くの人々を惹きつけることが予想されます。

まとめ

J&Lは、地域住民が気軽に立ち寄り、学び、交流し、創造する場として、非常に魅力的な施設です。「本」と「ものづくり」を中心にした複合的な空間が、北区の新しい文化拠点としての役割を果たしていることを実感しました。
現在江戸川区では、新庁舎の整備計画を進めており、2031年に移転予定です。隣接する再開発施設には区が床を取得して複合施設を設置する方針が示されていますが、J&Lは先行事例として非常に参考になる施設であると思います。