江戸川区議会 令和7年度第1回定例会で一般質問をさせていただきました。

質問全文と、執行部からの答弁を掲載します。
通告に従い、質問させていただきます。
昨日の本会議でも他会派議員から質問がございましたが、平井東小学校を発端とした不適切な事務については区民の皆様の信頼を大きく損なうものであり、深く憂慮しております。区民からの信頼を取り戻すためにも、これから行う質問については、区長の明確なご答弁を伺いたいと思います。
今回の不適切事案では、随意契約の制限を免れるため、工事を分割して発注する事例が多数確認されました。1月30日の記者会見では、請負工事の不適切な分割発注が1,123件報告されたほかに、年間単位工事契約が464件、物品購入の分割発注が55件あったことが明らかにされています。
本来、一体的に発注すべき工事を分割したことにより、競争原理が働かず、結果的にコストが高くなった可能性があることを、当会派は強く懸念しております。もし入札を行っていれば、より安価に工事を発注できた可能性が非常に高いのではないでしょうか。
地方自治法施行令第167条には、請負契約において、130万円を超える契約については、随意契約が認められるのは「緊急の必要により競争入札に付することができないとき。」といったやむを得ない場合に限られると定められています。このため、地方自治法施行令に定められている条件以外での安易な随意契約は、税金の無駄遣いにつながることを強く認識すべきです。
繰り返しになりますが、地方自治法では競争入札が原則であり、随意契約は例外とされており、随意契約を多用することは、法の趣旨に反する可能性があります。
今回の分割発注は、随意契約の制限を回避する目的で行われたと見られますが、当時、担当部局であった学校施設課、契約を担っていた用地経理課、そして支払いを執行していた会計課では、この行為が地方自治法に違反する可能性があるとの認識があったのでしょうか。会見では、誤った認識であったと言及されていましたが「子どもたちのため」「区民のため」という大義名分の下で法令順守を軽視してしまった姿勢は、容認することができません。法令遵守の意識欠如こそが、今回の事案の根本的な原因であると考えます。
今回の事案を受け、区は第三者検証委員会を設置し、再発防止策を検討するとしています。先の総務委員会において議案審査が行われ、先ほど可決されました。当会派も第三者検証委員会の設置には賛成の立場であり、委員会の中で問題の検証がしっかりと行われ、再発防止策が検討されることを期待しております。
しかしながら、第三者検証委員会の結果はもちろん尊重しなければならないですが、区自身が主体的に再発防止に取り組む姿勢も必要です。過去5年間で1,123件もの不適切な分割発注があったということは、年間平均224件の入札案件が日常的に発生していたことを意味します。つまり、事案発覚から現在、そして第三者検証委員会による調査期間中も、入札が必要となる案件は引き続き発生します。したがって、第三者検証委員会による再発防止策が策定されるまでの間も、不適切な事務を防ぐために区として早急な対策を講じる必要があります。
契約手続きの透明性向上、職員の研修徹底、内部監査の強化など、第三者検証委員会による再発防止策が決まるまでの間に講じるべき具体的な対策について、区はどのように考えているのでしょうか。
そこで、区長に3点お伺いいたします。
- 随意契約は緊急の場合など、やむを得ない場合に限って認められるべきであり、安易な随意契約は税金の無駄遣いにつながることを強く認識すべきと当会派は懸念しています。適正に入札を行っていれば、より安価に工事を発注できていたのではないかと考えますが、区長のご見解をお聞かせください。
- 今回の行為について、地方自治法に違反する可能性があるとの認識が当時あったのか、またそのご見解についてお答えください。
- 第三者検証委員会の発足はこれからであり、全容解明までには時間がかかりますが、区として具体的にどのような再発防止策を講じるのか、現時点で考えている具体的な対策についてお聞かせください。委員会の報告を待つことなく、区として厳正に対処すべきと考えますが、区長のご見解をお伺いいたします。
続いて、幼保小連携の推進について質問いたします。
現在、江戸川区では幼稚園・保育園・こども園・小学校がそれぞれ独自に幼保小連携に取り組んでいます。しかし、区として一貫した方針や具体的な施策はなく、施設や学校ごとの対応に委ねられているのが現状です。このような状況では、連携の質にばらつきが生じ、進学先の学校によって子どもたちが受けられる支援に差が出てしまいます。全ての子どもが等しく恩恵を受けられる環境を整備することは、教育行政の重要な責務ではないでしょうか。
実際に、保育現場の先生方からは、近隣の小学校に連携の打診をしても、ある学校は積極的に受け入れてくれる一方で、別の学校ではなかなか連携の機会が得られないといった声を伺います。こうした連携体制の違いが、児童の小学校生活への適応に影響を及ぼす可能性があります。適応に差が出ることで、「小一プロブレム」と呼ばれる問題にもつながりかねません。
「小一プロブレム」は、環境や学習スタイル、先生との関係性の変化などを要因として、小学校低学年の不登校にもつながる深刻な問題です。文部科学省の報告によれば、幼保小連携を強化することで、子どもたちのスムーズな移行が促進され、「小一プロブレム」の軽減や不登校の予防につながる可能性が示唆されています。
他自治体では、この課題を見据えた取り組みが進んでいます。例えば、横浜市では「幼保小連携推進地区事業」を実施し、幼稚園・保育園・小学校が協働で研究を進めています。金沢地区では、「幼保小交流活動事業」を通じて、子どもたちが自信を持って小学校生活をスタートできるよう取り組み、良好な成果を上げています。江戸川区もこうした先進事例を積極的に参考にすべきではないでしょうか。
さらに、地域の関与も欠かせません。横浜市では「区幼保小教育交流事業」を通じて、教職員だけでなく、保護者や地域住民も交えた交流活動を実施しています。地域全体で子どもたちの成長を支えることで、子どもたちは安心感を持ち、円滑に小学校へ移行できます。江戸川区でも、地域ぐるみで子どもを支える仕組みを構築すべきではないでしょうか。
そこで教育長にお伺いします。
1.教育委員会として、幼保小連携の方針を定め、体系的に推進するお考えはあるのでしょうか?
2.先進事例である横浜市の取り組みを参考にするお考えはあるでしょうか?
3.地域と連携し、子どもたちのスムーズな移行を支える仕組みを構築する考えはあるのでしょうか?
以上、江戸川区の未来を担う子どもたちのために、誰一人取り残さない教育環境の実現に向けた、確固たる方針と取り組みを強く求め、私の一回目の質問を終わります。
以下、答弁を記載しますが、急いでメモを取った内容なので誤りがある可能性もあります。
質問した議員のもとには書き起こし原稿が来る予定ですので、手元に原稿が届き次第修正します。
区長からの答弁(メモ)
- 地方自治法違反について
- 違反する可能性があると考えている
- 法令順守の違反は、今回の問題の抜本的な原因であると考えている
- 現在の防止策について
- 契約を止めることはできないので、法令を順守するように努める
- 例えば施工例に規定されている緊急随契、分割発注は許容できる基準を定める
- ダブルチェック体制をとる
教育長からの答弁(メモ)
- 連携強化について
- 現在は学校ごとの状況にあわせて様々な方法で実施をしている
- 学校生活の中での支援の必要性に気づくこともある
- 今年度は支援センター平井、篠崎、葛西の支援センターが地域の各学校に出向いた
- 連絡会を行い、支援の必要性が高い子が入学した際は組織的な支援体制を取れるようにする
- 横浜の取組については、
- 幼保小の架け橋プログラムのモデル地区として認識している
- 横浜に限らず、連携接続の形を模索する
- 地域の繋がりについて
- 関係機関をはじめとした連携をとることは子どもたち
- 代表校長、関係部署、幼稚園、協議会との連携を考えていく
- 評議委員会でも協議事項にする予定
総務部長からの答弁(メモ)
- 平井東小学校の渡り廊下工事については適切な価格であったと考えている
- ただし、平井東小学校も含めて全容は引き続き検証が必要であるため、第三者委員会において検証していく
第二質問は行わず、答弁を受けて以下のように意見を述べさせていただきました。
区長、教育長、部長、ご答弁ありがとうございました。
ここからは当会派の意見を申し述べたいと思います。
文教委員会において、他会派の同僚委員によって質疑が行われましたが、地方自治法施行令によって随意契約が可能な金額の範囲については、見直しが必要であると考えています。
例えば、今回特に大きな問題となっています、「契約金額130万円未満の軽易な請負工事として主管課契約で行うことができる工事」の130万円という法的根拠ですが、これは地方自治法施行令によって昭和57年(1982年)に定められました。
しかし、それから40年以上が経過し、物価水準は変わってきています。
例えば、1982年の消費者物価指数と現在の消費者物価指数を比較すると、物価はおおよそ1.4倍になっています。これを考慮すると、当時の130万円は現在の182万円程度に相当すると考えられます。したがって、現状の130万円基準は実際の経済状況と乖離しており、基準の引き上げが妥当であると言えるでしょう。
改めて申し上げますが、当会派では、この5年間の不適切案件によって区民の皆様からお預かりした大事な税金を無駄使いする結果になってしまった可能性が非常に高く、ここでしっかりと襟を正していただく必要がある案件であると明確に申し上げます。しかしながら原因究明を進めていく中で、一自治体の力ではどうしようもできなかった要素があったのであれば、それはしっかりと正してもらえるようしかるべき働きかけをすべきですし、批判するだけでなく是々非々で議論を行っていく必要があるのだろうと考えています。
また、幼保小連携についてですが、幼保小連携を進めるうえで、保育士や教員の負担増が懸念されます。ある保育士さんから「しっかりと連携を取りたいが、小学校の先生方もお忙しいと報道などで見聞きするし、お願いしづらい」という声でした。単に連携を推進するだけでは、現場の負担が増し、結果として取り組みが形骸化してしまう恐れがあります。
区としても、現場の声を丁寧に拾い上げ、負担軽減と連携強化の両立を図るための施策を積極的に検討・実施していただきたいと考えて欲しいと思います。以上です。
第二質問を0秒ピッタリで終わらせることができました。(別に0秒ピッタリにすることが美学という訳でもないのですが……)
珍しいことらしいのですが、第二質問が終わったタイミングで他会派の議員さんから拍手をいただきました。会派が違うと考え方も異なってきますが、区民の利益という同じ方向を向いて仕事をしているので、こうやって拍手という形で応援していただけたのは大変嬉しく思います。
本会議終了後も複数の他会派議員からお褒めの言葉や、現在の国会での検討状況などを共有していただきました。
今回の不適切な事務については、今年度中に第三者検証委員会を発足させて1回目の委員会を実施したいと総務委員会でやり取りがありました。9月頃には報告書をまとめる方針で、委員会はオープンな形で実施していく予定ということです。
今のところ、不適切な事務が明らかになっているのは文書の保存期限である過去5年分ですが、おそらくその前から長年続いてきたのだろうと考えています。ここでしっかりと襟を正していただく必要がありますし、議会としても監視機能を強めていかなければなりません。第三者検証委員会をはじめとして今後の動きに注視してまいります。